院長ブログ

2015.01.18

センター試験の思い出

「鶏頭の十四五本もありぬべし」

浪人の時に私が受けたセンター試験の国語はこの句から始まったと思う。

最初の教科が国語だったので、問題冊子を開いて最初に見たのがこの句ということになる。

高校生の頃、低い通る声が特徴の現代国語担当の先生からどんな解説が聞けるのだろう?と

耳を傾けると。「この句はですね、ま、鶏頭が14,5本咲いているなあという意味です」

何のひねりもない!と心の中で突っ込んだことを試験中に思い出した。

「結核で寝たきりの正岡子規が鶏頭の生命力をたたえ、それをありのままに表現した俳句です」

と背景を説明してはくれたが。

keitou1[1]  
鶏頭(ケイトウ)。季語は秋。

実際の鶏頭は見たことがなかったけれど、知っている句に出会えたことは

私に落ち着きを与えてくれた。

けれど一緒に試験を受けた同じ浪人生は、

”はい、始め!”で、この句が目に飛び込んできたとき、

地面にニワトリの血だらけの首が14,5本刺さっている壮絶な絵面をイメージしてしまい、

その後の文章を読んで、鶏頭が植物とわかるまで極度に緊張してしまった。

と一日目が終ったあと肩を落として話してくれた。笑えなかった。

以来、花屋で鶏頭を見るたびにセンター試験と彼女を思い出す。

今日はセンター試験。受験勉強は苦しいのも本当だけど、何年か経つと苦しかったことより

こんな思い出に変わる。時間は魔法です。