院長ブログ

2015.05.10

”明”月をとってくれろと。。。

「耳鼻科医として人を喜ばせられる量と、この店を継ぐことで人を喜ばせる量を比べてみろ!」


20代後半から30前半にかけて、月に数回は気心が知れた先輩後輩と焼肉屋に通っていました。

老夫婦が営んでいた”明月館”は、ぼんやりとした明かりにヨレヨレの暖簾で

味付けは福岡に住んでいたこともあるお母さんが、

ビールを運ぶのは痰が絡んだ咳をよくしていたお父さんが担当していました。

お母さんの出してくれる、キムチと引き割り納豆をあえて、

韓国のりにシソを1枚引いて、その上にその納豆キムチをのせ巻いて食べる一品は

ビールにとてもよく合う料理でした。もちろん焼肉も辛くてうまくて。

「私たちの代で終わりよ」というお母さんの言葉に酔っぱらった先輩が、

「釣田!継げ!お前が明月館を継げ!」と叫んだのが、冒頭のセリフです。

時々「継いでいたらどうなっていたかな~?」と今の人生以外の人生を夢想したりして。

私のことだから、「ライトムーンハウス」としてあの味のノウハウを元に

全国チェーン展開していたかもしれないな。なんて。

どうやら過ぎ去って、もう元に戻らないものほど愛おしい。。。らしい。

そんな切ない思いをしないためには、後継者を育ててもらうことですが、

現在ここで通っているお店も、後継ぎがいない店が多く。。。

あまり悲しい思いをしないよう、年を取ると”執着”を捨てたほうがいいのかなぁ。