院長ブログ

2015.06.07

若気の至り

その患者さんは沼津より少し離れたところから来院される。

沼津市立病院の時に、転勤された先生の手術患者さんを担当することになり

診察させていただいたのが最初で、手術から何年も時間がたっており、

もう私が何もすることがないほど、良くなっている方だった

私は、通院の”不都合”を少しでも無くそうと、

「もう、そんなに頻回に来なくても良いですよ。1年に一回とか。。。」と話したものだった。

患者さんからの同意は得られず、「いいえ、心配だから今まで通り通います」

私もまだ30代だったから、病院に来る必要を無くすことこそ仕事!と、力が入っていたのだろう。

不安も含めて、「生きることは痛い事なんですよ」と言ったらしい。

。。。らしいというのは私自身はそう言ったことを覚えていないからで、

病後の不安は病気になった患者さんの生活にはつきものだけど、

病院に縛られる時間を他に使ってもらおうという趣旨で説明したことは覚えている。

その時の言葉だと思うのだ。

今では当院に年に1~2度来院される。実はその後いくつかの大病をされ、

そのことで耳鼻科への通院は減ったのだが、今回来られた時に

私がかけたこの言葉を覚えていて、他の人に対して使っていること教えてもらった。

あれから10年。自分の吐いた言葉が、まわりまわって私を刺すようで。。。

四捨五入すれば50になる今の私には、言うのにも痛いようでリアルすぎてなかなか言えないです。