院長ブログ
2015.12.12
思い出の収納
今週のニュースで、ノーベル賞のことをやっていた。
大村智先生の発明は寄生虫への特効薬であることが説明されていた。
現代の日本人には寄生虫は縁遠いと思うが、
犬のフィラリア症に効果がある薬と聞くと身近な人もいるかと思う。
そういう私はフィラリアを見たことがある。
薬理学という、薬を投与した時にどのように体が反応するか?という実習には犬が使われていた。
実習前の注意点は散歩をし排便させておくこと。
動物実験施設の檻から出されて、無邪気に嬉しそうな顔を見せる犬を散歩させながら、
どの班も胸に痛みを感じないではいられなかっただろうと思う。
犬を飼ったことがなかったから、初めての犬の散歩がこの時になるのだが、
我が班の犬はなかなか出すものを出してくれず、それ故にずいぶん長く散歩をしていたような気がする。
それとも罪悪感から長く感じたのか?
実習が終わると、大学病院の循環器の先生が実験用に犬の心臓が必要ということで、
どの犬にしようか?となり結果、私たちの班の犬が提供されることになった。
麻酔後、素手で取り出そうとした実習助手さんに循環器の先生が
「フィラリアがいるので、手袋をつけてください。」と声をかけ、
手伝うかもしれない私たちも身構えた。
フィラリアは心臓に繫がる大きな血管に寄生するので、それが取り出されるまさにその瞬間に見たのだった。
たくさんの素麺が鍋の底から沸き上がってくるように湧いていた。
同じ班の女の子と目があったら、二人とも何ともいえない顔をしていた。
100人近くいた同級生の中で女子は3割くらいにもかかわらず、
我が班は五人のうち私を含めて三人女子という構成だった。
あおりをくった(?)ナ行から始まる次の班は男子だけの班だった。
男子だけだと銘々勝手なことをしだし、実習があらぬ方向に行くこともあり、
自分の班の方向が正しいのか、優秀な眼科医になった我が班の女の子に聞きに来ていたっけ。
一番よく尋ねに来た子がこの冬に同級生の中ではとびきり早く逝ってしまった。心筋梗塞と聞いた。
ノーベル賞とフィラリア、犬の心臓と隣の班の男の子。
私の脳の引き出しにはそれらが入って収納されている。
ラベルはどうしても悲しい色になる。
大村智先生の発明は寄生虫への特効薬であることが説明されていた。
現代の日本人には寄生虫は縁遠いと思うが、
犬のフィラリア症に効果がある薬と聞くと身近な人もいるかと思う。
そういう私はフィラリアを見たことがある。
薬理学という、薬を投与した時にどのように体が反応するか?という実習には犬が使われていた。
実習前の注意点は散歩をし排便させておくこと。
動物実験施設の檻から出されて、無邪気に嬉しそうな顔を見せる犬を散歩させながら、
どの班も胸に痛みを感じないではいられなかっただろうと思う。
犬を飼ったことがなかったから、初めての犬の散歩がこの時になるのだが、
我が班の犬はなかなか出すものを出してくれず、それ故にずいぶん長く散歩をしていたような気がする。
それとも罪悪感から長く感じたのか?
実習が終わると、大学病院の循環器の先生が実験用に犬の心臓が必要ということで、
どの犬にしようか?となり結果、私たちの班の犬が提供されることになった。
麻酔後、素手で取り出そうとした実習助手さんに循環器の先生が
「フィラリアがいるので、手袋をつけてください。」と声をかけ、
手伝うかもしれない私たちも身構えた。
フィラリアは心臓に繫がる大きな血管に寄生するので、それが取り出されるまさにその瞬間に見たのだった。
たくさんの素麺が鍋の底から沸き上がってくるように湧いていた。
同じ班の女の子と目があったら、二人とも何ともいえない顔をしていた。
100人近くいた同級生の中で女子は3割くらいにもかかわらず、
我が班は五人のうち私を含めて三人女子という構成だった。
あおりをくった(?)ナ行から始まる次の班は男子だけの班だった。
男子だけだと銘々勝手なことをしだし、実習があらぬ方向に行くこともあり、
自分の班の方向が正しいのか、優秀な眼科医になった我が班の女の子に聞きに来ていたっけ。
一番よく尋ねに来た子がこの冬に同級生の中ではとびきり早く逝ってしまった。心筋梗塞と聞いた。
ノーベル賞とフィラリア、犬の心臓と隣の班の男の子。
私の脳の引き出しにはそれらが入って収納されている。
ラベルはどうしても悲しい色になる。