院長ブログ

2016.04.17

熊本の震災で。

その患者さんは薄青色の建築現場の作業服で来ていた。

作業服で来院される人は多いけど、もしそんな人が20代の女性だったら印象に残りませんか?

現場監督をやっているらしく、冬には地味な色のネックウォマーを巻いて受診されていた。

先月だったか、かわいい春らしいスカート姿で受診されたので、

「なになに!病院の後、これからデートなの?」と、いつもとは違う雰囲気に聞けば、

デートなどではなく年度末で会社を辞め、実家に帰り稼業を継ぐという。いつもはこうだとも。

その日の最後には「今までありがとうございました」とカワイイ格好で挨拶してくれた。

3月は引っ越しやなんやらで、患者さんともお別れの挨拶をすることも多いのだが、

その患者さんを特別思い出したのは、彼女の戻った故郷が熊本だったから。

地震が落ち着いたら、彼女はきっと忙しくなるだろう。なぜなら実家の稼業が”建築屋さん”だから。

かわいい顔には不似合いな左腕に何本もペンがささった作業服で、ヘルメットをかぶった姿が浮かぶ。

たった数回かかわっただけだけど、彼女の無事とこれからの激務を思う週末だった。