院長ブログ
2019.10.20
ジョーカーを観て
この2週間は”こんにちわ”の代わりに”ララポート行った?”があいさつだったでしょうか。
私も先週の水曜日に映画を見るために行ってきました。
映画館のある3階から10時前に入るともう映画館の前入り口に列ができており、
「やはりジョーカーは人気がある映画なのか、もっと早く来るべきだった」と思っていたら
飯田商店の列でした。その時点でラーメンは60分待ち。映画は誰も待っていませんでした。
紛らわしいぃ。
ジョーカーがなぜ悪となりバットマンの敵になったか、が描かれている映画で
本国アメリカでは観客動員数がとても多いそうです。
映画を通じて私が考えさせられたのは”孤独について”です。
原始時代の人間は集団で生活してた方が生存率が上がったため、
人といることを喜び、ひとりになると不安になるように人間は設計されています。
ひとりになることを好む原始人は子孫が代々残っていく可能性が少ないため、
進化の中で人間とは関わりあいを好む動物になっていったはずです。
現代人の中に”対人不安”が多いのはそれ(対人)がすなわち大事だからでしょう。
失恋すると心が痛むといいますが、拒絶されて血流が増える脳の部位は、
身体的な痛みの箇所でもあるので、あながち間違ってはいないようです。
一時の孤独感は対人関係を改め、行いを反省するきっかけにもなる。
そのことは将来に有益ですが、長期の孤独感は体をじっくりとむしばみます。
運動しない、食事もお粗末、悲観的な考えばかりになり、
ストレスを感じやすくなり、眠りの質も悪くなる。という具合に。
アメリカ人は20%が孤独感を抱え、不幸の大きな原因になっているという。
ただこれは実際に一人でいることではなく、独りだと思っているという本人の思いこみ次第だという。
私のは母は父が死んで一人で暮らしてはいるが、運転がまだできるので地域から頼りにされている。
趣味の陶芸作品を人に配ったり、町内のお祭りで安価で売ったり、時々ドライブにも行っているようだ。
多分孤独とは思っていないだろう。勇気がないので面と向かっては聞けないが。
何かの本で幸せのインフラについて書かれていて、生活に必要な電気・ガス・水道みたいに
1.家族、友人などの関係
2.働いて金を稼ぐ社会とのかかわり
3.金融資産
3つのうち2つあれば結構幸せで、1つでもあれば何とかやっていける。
ってな内容を読みました。
映画の主人公アーサーはコメディアンを夢みて、おんぼろアパートに母と二人暮らしです。
3の金融資産はないけれど、一応ピエロとしての仕事はあるし、家に帰れば母親がいるので、
1と2は持っている設定。話が進むにつれ、2(仕事)を失い、1も消えてしまいました。
心を病んでカウンセリングに行っているから、孤独感をある程度感じていたと思うけど、
1(映画では母親)を失ってから、独りであってかつ一人。
他人から見ても孤独になり、幸せのインフラがなくなってしまったので、
アーサーからジョーカーが生まれたように思えました。
色々な人がこの映画を評価しているけれど、私はそんな気にはなれませんでした。
アーサーの不幸に感情的に共感することができませんでした。
「自分が不幸だから、他人を不幸にしていいわけがない」とジョーカーに言って
撃ち殺されたデニーロと同じ感覚かも。