院長ブログ
2020.11.23
匂いとおもいで
11月に富士宮に行くのは今年で3回目。
渋滞する139号線からそれてしばらくいくと、
木が道路の際まで生えている、いかにも山道に入っていく。
11月にしては暖かく、車の窓を開けるとイチョウの匂いがした。
実家から100mと離れていないところに神社があり、
そこには私が保育園に通っていたころには、
既に大きいイチョウの木(雪景色としてこのブログに登場)が3本あった。
四季を通じて子供の遊び場であったこの神社は、
秋になると大量の実と黄色い葉を落とす。実はギンナンだ。
祖母に「食べたいからとってきて」と言われ数個取りに行ったこともある。
「手がかぶれるから実を素手で触っちゃいけないよ」と注意をされたが、
それよりも果肉の独特な匂いのほうがきつくて、
あんまり好きなお使いではなかったし、
焼きあがったギンナンも匂いを想像してしまいあまり口にしなかった。
東京の神宮外苑はイチョウ並木で有名な場所だ。
「愛という名のもとに」というドラマのロケで使われ、
出演の女優俳優陣が横一列に並び歩くシーンで、
「くさくないのかな?」と思ったものだった。
イチョウは秋にあの独特の匂いをかもすものだと思っていたから。
イチョウにはオス木とメス木があって、
実がつくのはメス木のほうでオス木には実がつかない。
あの独特の匂いはメス木だけなのだ。
街路樹として植えられているのはほとんどオス木だそうから、
ロケの俳優陣たちは匂いを気にすることはなかったのだろう。
(母に言って、撮影してきてもらった昨日の神社)
記憶は耳(歌として)や目(物として)鼻(匂いとして)など五感にひそんでいる。
イチョウの匂いのする富士宮の山道は私に、
実家での日々と今は富士宮で眠る人を思い出させた。
来年も同じ匂いがするだろうか?