院長ブログ

2021.03.03

ドリルすな!

 耳鼻咽喉科の試験問題で出題される確率が高い、いわゆる試験の”ヤマ”の一つは、
鼻に指を突っ込むと触れる壁の部分で、これを”キーゼルバッハ部位”という。
医学生、看護学生であった人なら必ず聞いたことがあるだろう。
鼻の真ん中の壁で、”キーゼルバッハ部位”と特別名づけられているのは、
指で触れるからうれしくて、ではない。
この部分は血管が特別多いからだ。

(我慢して触っていないキーゼルバッハ部位。アレルギー性鼻炎があります)
話は少しそれるが、吉本新喜劇のすち子と吉田君の定番ギャグ”乳首ドリル”のなかで、
つま先⇒あご⇒わき、と棒ではたかれた後、吉田君が
「毛細血管のいっぱい詰まっているところ、わーきー」と叫ぶが、
耳鼻咽喉科の忘年会なんかでは
「毛細血管がいっぱい詰まっているところキーゼルバッハー」
と叫ばれていることだろう。字余りだが。
そして、なんと鼻血の原因の90%はこのキーゼルバッハ部位からの出血だ。
みなさんは、指が切れて血が出たときはどうやって血を止めるだろうか?
おそらく多くの人はティッシュなどで押さえて血を止めると思う。
鼻血の場合も同様、ティッシュを詰めて小鼻を5分程度押さえればよいのだ。
最近、花粉症の影響もあって、なかなか鼻血が止まらないと相談を受けるのだが、
止血方法をやってもらうとドリルしながらティッシュを詰めていることを発見した。
(キーゼルバッハにドリルするとこんなふうにホラー映画の血文字みたいになるよ)
さて、吉田君は乳首にしつこくドリルされて、「ドリルすな」と、すち子に言う。
何回も乳首ドリルした後、最後にドリルすると見せかけて寸止めすると、
期待していた(?)吉田君は「ドリルせんのか~い。
すんのかいと思ったら、こっちせんのかい」
と繰り返してこの”乳首ドリル”ギャグは終息に向かう。
(乳首ドリル)

私は真顔で声を上げて”キーゼルバッハ部位”をドリルしているキッズに言いたい!
「ドリルすな」と。