院長ブログ
2021.09.26
コロナ考
新型コロナウイルスが日本に蔓延して、1年半以上が経過しました。
夏前に医療従事者から始まったワクチン接種も、
おおよそ希望する人にはいきわたった感が出てきましたし、
第五波も終息し、緊急事態宣言が解除される見通しで、いろんなことが一段落です。
さて唐突ですが、新型コロナウイルスが感染するには人の細胞にくっつく必要があります。
くっつかないと痰や唾液にくるまれて外に出てしまうでしょう。
コロナとしては感染して何とか子孫を増やしたい。
そう、しっかりくっつくためにコロナの表面にはスパイクがあります。
サッカーや野球で滑らないようにするため、シューズの底にスパイクがあるようなものですね。
コロナのスパイクはその名も”スパイクたんぱく質”と呼ばれ、
現在のワクチンはこのスパイクたんぱく質を標的にした抗体を作るためのものです。
日本でコロナが流行し始めたころ、
イタリアやアメリカではバンバン感染者(&死者)が出ていたのに
日本は感染者そのものが割と少なかったことをみなさん覚えているでしょうか?
あの時、日本人はマスクをしっかりしているだの、手洗い消毒が行き届いているだの、
日本人の清潔感ばんざ~い!的な論調がありました。
実は日本人には遺伝的にこのスパイクたんぱく質が
くっつきにくい特徴を持っていたということがわかりました。
そしてインドで流行したデルタ株はこの日本人のお得な特徴を打ち消す変異株だったので、
7月から8月にかけて日本でも感染者が今までとは比較にならないくらいの感染者が出た、
ということです。
診察をしていても、今までは接客業の人が多いような印象を持っていましたが、
8月はどういう立場の方でも、成人で発熱している方を調べたら、非常に高い確率で陽性でした。初めて”コロナが身近になったなぁ”と思いました。。。
そんなころ、県から自宅療養患者さんの健康観察をやって欲しいと頼まれ、
あの頃の都内で自宅療養患者さんを往診し、
酸素吸入など自宅でできる治療を行っている医師の話を聞きました。
なんと、酸素が必要になる人の96%はメタボ男性ということでした。
96%ってすごい確率だと思うんですよ。
だから、ワクチンの優先者の条件に「BMI30以上」が加わっていますし、
保健所への届け出用紙はBMIが30以上かどうかを書く項目が8月終わりから追加されました。
ちなみにBMIは体重(㎏)を身長(m)の2乗で割ったものです。
私は51㎏の1.56mなので大体21で普通基準ですね。(51÷1.56÷1.56≒21)
BMI30って例えば170cm=1.7mだったら87㎏くらいです。
コロナ重症化のリスクとしてあまりマスコミが騒がないが、
”肥満”はどうやら立派なリスクファクターだ。
こうなったら肥満についてもうちょっと考えてみようと思う。
(次に続く)