院長ブログ
2021.10.13
肥満とコロナ
コロナで重症になりやすい人に肥満が多いという事実から、
食欲についての話を前回は書いてみた。
今回は肥満について書こうと思う。肥満って切り口がいっぱいあるが
起こっていることは”摂るエネルギーが出すエネルギーを上回っている”だけである。
なぜ、現代人は肥満まっしぐらなのだろうか?
まず入ってくるエネルギーについて考えてみたい。
昔は労働者がケガ無く働くためには十分な栄養が必要だった。
国は国民を飢えさせないこと=栄養の高い食べ物を作り与えることが重要だった。
飢えさせないことは国の公衆衛生問題だったろう。
高カロリー食(炭酸飲料や甘いお菓子)を企業が生み出したことで、
そういう問題は解決したかもしれないが、栄養が高い=カロリーが高いと考えたことで、
今日の肥満化があるのではないだろうか。
栄養が足りていることと、カロリーが足りていることは違うのに。
次に出ていくエネルギーについて考えてみよう。
人は1日に3000キロカロリー以上のエネルギーを消費できる。
これはライオンなどと比較して、持続的で強度の高い労働を行える動物だということだ。
そういう能力の結晶としてピラミッドやスフィンクスがあるのかもしれない。
けれど、今の時代はピラミッドやスフィンクスを作っている人はいない。
人類の長い歴史で、あるはずのなかった食べ物に囲まれ、
食べ物を得るための重労働が必要なくなった時代が現代で
身体と食環境が大いなるミスマッチを起こしている時代といえないだろうか。
ミスマッチな環境は適応もできるが、摩擦も引き起こす。
人間は身体の設定はアフリカのサバンナなのに、チョコレート畑で暮らしているようなものだ。
このような摩擦の結果としての肥満なのだろう。
さて、太りたくない人が忌み嫌う脂肪だが、実は免疫に関係している。
脂肪が過剰になると、いろいろ大きくなった組織に血液を流すために低酸素になる。
低酸素になった細胞は炎症を起こすので、最新の肥満学では肥満は慢性炎症と解釈されている。
慢性炎症の上にコロナによる炎症が加わるので、結果重症化しやすい。
64歳以下の接種が始まるまえ、優先される接種者に基礎疾患がある人以外に
BMI30以上という項目があった。
重症者が増えなければ医療は崩壊しない。重症化を避けるには今はワクチンに頼るしかない。
政治不安と陰謀論の蔓延によりワクチン接種が極端に低い国、ルーマニアは
最近でも新規感染1万3千人で累計の死者は4万人である。
これは日本の人口に合わせると新規感染7万2千人、累計の死者は21.7万人に相当する。
ちなみに現在日本は1日600人くらいで、累計死者は1.8万人である。
ワクチンの効果はルーマニアが証明してくれた。
まずはBMI=体重(㎏)÷{身長(m)}の2乗を計算しよう。
そして30以上の場合はまだ接種していない場合はワクチンを接種したらどうだろうか。