院長ブログ
2021.12.08
進化医学の続き
「生存に適しないものは自然淘汰され、適したものが生き残る(ダーウィンの進化論より)」
なら私たちの中にあるもので何が自然淘汰で残り
それにはどんなメリット(適応)があったのだろうか?
それも一見苦痛と感じるもので考えてみるのも面白くはないだろうか。
例えば”痛み”。
先天的に”痛み”を感じない人はケガをしても動き続けるので病状が悪化し結果30歳まで生きられない。”痛み”はそれを感じることで学習し、次に同じことを避けるために有用な感覚なのだろう。
”恐れ”はどうだろう。
ジェットコースターが一番高いところに達した後、急降下する。
富士急ハイランドのFUJIYAMA(フジヤマ)は20階のビルから急降下するスリルだそうだ。
私はこの急降下の重力加速度を感じている時に胸がドキドキし恐怖を感じる。
サルから進化したヒトは大昔、木に登り実を採っただろう。
落下の恐怖にドキドキしない人はドキドキする人よりは木の実をたくさん採ったかもしれない。
でも無謀なことをする傾向が強く木から落ち、子孫を残せないことも多かっただろう。
子孫を残せないと”ドキドキしない”という特徴は後世まで残らない。
私の先祖は、無謀なことをしない程度には木の実を採り、
全く木の実を採りにいかなくて飢え死にするほどには臆病ではなかったのに違いない。
ちなみに無謀すぎて自分で自分の遺伝子を淘汰した人に贈られる賞を”ダーウィン賞”というらしい。「自ら劣った遺伝子を抹消した」という皮肉を込めてつけられたそうな。
昨年の日本の受賞者は「冬の富士登山をスマートフォンで生配信していたら滑落した男性」です。
他にも”発熱”と”下痢”。
ただ、つらい症状の一つであっても感染と戦うために自然淘汰によって残った適応の一つと知るのも悪くないと思う。
ならばなぜ、”不安”や”抑うつ”などが私たちに残っているのだろう?
(続く)