院長ブログ
2022.06.08
トップガン・マーヴェリック
映画「トップガン」は1986年の作品で、続編について私がブログで書いたのは2019年。
その時の患者さんは数か月に一度来院され、つい最近の受診では「いよいよ5月ですね!」「5月だね!」と二人で主語がない会話をしたのだった。
続編の知らせから3年。それだけ”お預け”を食らっていると、否が応でも映画の内容について妄想が湧きますわ。
前作のラストはマーベリックがトップガンでの教官を希望して終わったので、教官としてアイスマンやグースの子供を教えていて、彼らの乗った飛行機が管制塔をかすめるときマーべリックが持ったコーヒーがこぼれシャツが汚れる。そんなラストーシーンは?どうだろう?
なんてなことを思いながら、今日という映画を見る日を待っていた。
齢60に近いトム・クルーズに私はあの頃と同じようにシビレられるのか。。。?
。。。ま、オープニングの”ゴーン”という鐘の音で泣きましたけどね。(以下ネタバレ注意)
フライトジャケットもKawasakiのバイクも、これでもか!の小道具サングラスも登場。
トム・クルーズの最初のセリフ”やあ(Hi!)”までで、私は完全に86年に戻りましたわよ。
上官の命令を無視したことでお叱りを受けるマーヴェリック大佐。
これは前作のミグとの遭遇後、トップガンに行けというシーンを想起させる。
続編での上官役は名優”エド・ハリス”。オープニングエピソードで、エド・ハリスを配置した理由はただ一つ”髪型”だろう。いや”髪型”に決まっているし、それしかない。
話はそれるが、出だしでエド・ハリス演じる少将は”将来的に戦闘機を無人にする”という計画を立てている。86年には考えもつかなかった人間とAIの対決をトム・クルーズ対エド・ハリスで垣間見られるシーンである。
実際シリア上空で無人飛行機(ドローン)を飛ばすには1機あたり30人が必要で、その情報を分析するためにさらに80人が必要だそうだ。無人機のための人材不足にアメリカ軍は陥っているらしい。笑えない話だ。
さて、「トップガン・マーヴェリック」では方々に、86年と今を行ったり来たりする要素がちりばめられていた。小物、セリフ、仕草。
前作のラストシーン、ミグを墜落させ、母艦に戻ってくるマーヴェリック。
後ろのマーリン(ショーシャンクのティム・ロビンス)と歓喜で迎えられる。私も胸にトゲが刺さったまま歓喜の輪に見入った。トゲはマーリンがグースだったら。だ。
本作では30年ぶりにF14で後ろにグースの息子を乗せて帰ってくる。直前まで「親父はあなたを信頼していたから死んだ」と悪態ついていた野郎だが、マーベリックの後ろに乗って、最高の”パイロットの腕”を親父と同じように体験するにつれ、幼いときに死んだ親父に触れることができ、わだかまりも溶けていったのではないだろうか。だからこそ、母艦に帰って、この息子からマーベリックへのセリフに私のトゲも溶けていったのだ。
30年経って、「トップガン」は熟成されていた。まるで古酒になったように。
あの頃フライトジャケットを買った人も。フライトジャケットを着た彼氏とデートした人も。この映画を見てはどうだろうか?たとえ隣はトム・クルーズやケリーマクギリスじゃなくても、ザッツ!エンターテイメント!