院長ブログ

2022.08.28

夏休み2022

発熱者が世の中にごった返していたお盆に夏休みをとった。
他の発熱外来をやっている病院からは”敵前逃亡”のそしりは免れないが、
私たちの隊にもメンテナンスの時間が必要だった。

今年の夏休みは東京の友人が誘ってくれた”ミス・サイゴン”を見てきた。
ミス・サイゴンに選ばれてミス・ユニバース!ではない、ぐらいしか知らないほど私のミス・サイゴンの知識は0に等しかった。そんな、私と変わらない人のために、ざざっとあらすじを。
ベトナム戦争下、サイゴンの売春宿で働く若い女性=キムはアメリカ兵のクリスト恋に落ちる。混乱の中、クリスはアメリカに戻るが、キムはベトナムに残され一人息子を生む。
3年後クリスはアメリカで結婚するが、息子とキムが生きていると知り会いに行く。
息子の将来を考え引き取って欲しいと願うキムに、拒むクリス。
自分が生きていては息子は引き取ってもらえないと考えたキムが自殺する。。。とこんな感じです。

キムもクリスもピュアな二人として描かれている。
貫禄ある女が「ね~アメリカに連れて行ってよぉ」とクリスの友人ジョンに絡むが、「お前なんか連れて行かないよ、現地で遊ぶだけの女だ」と相手にしない。
そこへ、ピュアなクリスが登場しキムと恋に落ちる。いや~対照的ですな。
3年後、ジョンはベトナムに置き去りにされたアメリカ兵の子供を救うために奔走している。
どういう心境の変化だろうか?ジョンに何があったかは物語には一切出てこないが、個人的には気になった。
ピュア男クリスは、キムの影を引きずりつつ生まれ変わろう!として結婚する。
ジョンが探し出してきたキムと息子に妻と会いに行き、二人を前にして「今は妻が大事だ~援助はする~けどアメリカに連れていけない~」と歌う。そう、ミュージカルではこんな生々しい会話も歌いあげます。
出会った女性にひたすら誠実に向き合い続ける男が生んだ大きな悲劇という物語でした。私には。

考えてみれば現実の社会も不幸は不幸の顔をしてはやってこない気がする。逆もしかり。
悲しい出来事がしばらくたったら幸せへの曲がり角だったと気が付くことも多い。
ジョンに捨てられた女は戦争が終わったら案外ベトナム人と結婚して幸せに暮らしていたんじゃないかな。
発熱外来が病院にとってどっちの顔をして、どういう結果を生むのか今の私にはわからない。
両方を含んでいるだろうと思っている。