院長ブログ
2023.03.12
花粉症2023
静岡県では1日でスライドガラス1cm2あたりに何個花粉がついているかを定点で調べています。
ここ沼津に一番近い御殿場では過去3年は大体1日100~200個のスギ花粉がくっついていましたが、今年は花粉がとても多く、特に3月に入ってからは平均すると1日577個です。
そのため、心底困った様子で受診され「注射(ゾレア)を打ってください」と来院されるケースも多々ありますが、注射は前年にも飲み薬や点鼻薬を使っても重症で、今年も同様でないと投与対象にはなりません。その他採血が必要なので、受診当日に注射治療ができることはあり得ない。と思ってください。テレビやネットではそこまでの情報は伝えてくれないので、ご参考までに。
(健康な時と花粉症は発症した時の違い)
そして今年は注射治療は今までで8人に行っています。みんな薬を使っても重症で受験、仕事などに影響が出ていましたので、何とかなればと思っています。
昨年はゾレアを8人に投与しました。効果は大なり小なり8人全員が感じてはくれました。そして8人それぞれの今シーズンがやってきたわけですが、1人は妊娠したためゾレアの治療は希望せず、もう1人は通院が難しいので今年は内服+点鼻で何とかしのぎたい。4人は「舌下免疫の効果もあって、注射するほどではない」ということで、結局ゾレアの投与を望んだのは2人でした。
ゾレアは確かにそのシーズンの症状を軽くしてくれるけど、それを毎年やるよりも免疫治療をした方が将来も有益ではないか、と舌下免疫治療(以下、舌下)を選び、初年度から効果が出たのでゾレアの治療までは必要なかった、という流れなのでしょう。
さて、舌下はWHOによると「現在、唯一、根治が望める治療法」です。
昨年から舌下をやっている人にとっては、舌下後初めての花粉症シーズンがやってきました。中には「最初は効いていたけど、ひどく飛ぶようになるとやっぱりひどい症状が出る」と1年目では効果を実感できない人もいました。年数を重ねることでの効果も期待できるので、この例については続けることを勧めようと思っています。
今のところは、この例以外はおおむね良好の様です。
「去年よりもつらくなさそう」や「私(親)の方が症状がつらくて、楽そうにしているのがうらやましいです」と親御さんには好評です。そして一番うれしかったのは「こんな幸せな2月を過ごしたことは無い」という感想でした。
一昔前は飲み薬だけだった治療から、根治治療として舌下、重症にはゾレアと提案できるようになりました。舌下は花粉飛散が終了してから、つまり6月以降に治療を開始しますので希望ある人はその頃に受診してください。