院長ブログ

2023.11.19

こころの知能指数:EQ

生きること全般からの問いに対し、うまく解決する能力を”知性”というのなら、”知性”には種類があろう。小学生の1日には算数の時間もあれば休み時間もある。
算数の問いを解決する知性を数字化したものが”知能指数”IQ”(Iはインテリジェンス)なら、休み時間に問われる問題を解決する知性を”こころの知能指数”EQ”(Eはエモーショナル)という。
今週スタッフと私6名で、このEQを含めた接遇研修に行ったのだった。研修を担当するところに「今更お辞儀の角度もないから、”情動のコントロール”を中心に研修を考えて欲しい」と注文を付けたら、このEQを中心とした感情のマネジメントを紹介されたのであった。
研修は脳が何にフォーカスしているかで選択が違うことを最初に学ぶ。まずは西洋人と東洋人のものの見方だった。例えばサルとバナナとパンダの絵が並べられ、サルとセットだと思うのはバナナかパンダかという質問で、西洋人はパンダと答え(同じ動物だから)、東洋人はバナナ(サルはバナナを食べるから)と答える人が多いらしい。西洋人はものを分析して捉えるが、東洋人はものの関係性を重要視する。と言う具合に。
次に各々のブレインスタイルとその特徴を説明された。
(事前に70以上の質問を受けて解析された私のブレインスタイル)
IQは数字で表され、高い低いと評価されるのに対し、EQは数字ではなく、まず自分の脳のくせを知ることから始まる。腹の底から湧いてきた感情(情動)をコントロールするには、まず自分の脳の癖を知ろうというわけだ。それができてようやく感情に自分を振り回されず、感情をコントロールできる。まさに”汝自身を知れ”だ。
頭の良さ(IQの高さ)と人生の成功度や満足度は比例していない。

学歴や与えられたチャンスも同じなのに人によって結果にばらつきがあるのは、よく耳にする現実だ。そして社会で生きてきた時間が増すほどに、試験の成績より、他人を理解し人間関係をうまく処理する知性(EQ)の方が意味をもつことを実感できないだろうか。
”感情をマネジメントする”ことは、どんな仕事にも生きる技術だと思う。そしてIQは生まれつきの要素が強く改善は望めないが、EQは学んで実践すれば改善し続けることは可能だ。だって、技術だもん。そして願わくば、この研修をきっかけにスタッフにも自分をコントロールすることを意識して欲しい。それは病院でだけでなく、仕事以外の社会やもしかしたら家庭生活においても、深い幸せをもたらしてくれるのではないかと思うから。
もちろん私も自分をコントロールする鍛錬を毎日行っている。どうやって?の問いには「きわめて東洋的に」と答えよう。