院長ブログ

ディズニー映画「インサイドヘッド」では、主人公ライリーの司令部＝頭の中に"ヨロコビ""カナシミ""ビビリ""ムカムカ""イカリ"が住んでいる。
これら5つの情動には特徴があり、"ビビリ"には安全に生きるため、"ムカムカ"は様々な毒からライリー守るために"イカリ"は不公平に扱われることへの抗議としての役割を持つ。そしてリーダー格の"ヨロコビ"は「とにかくライリーの人生を喜びでいっぱいにしたい」と思っている。そんな"ヨロコビ"には"カナシミ"がなぜ司令部にいるのかわからない。
生まれてから11年、いろいろな場面でこの情動たちがコントロール盤のレバーやボタンを操作することでライリーの気分、意思を制御してきた。そして、そうした体験が記憶となり、ライリーの性格を形作っている。
そんな"ヨロコビ"主導の元、すくすく成長したライリーが突然転校することになってしまい、情動たちが乱れ始めてしまって、、、ライリーはどうなってしまうの！？と物語は進んでいく。
ところで、このブログの作者ミナコーのインサイドヘッド、司令部はどうなっているのだろう？ちょうど今週は救急を挟んで6連勤、休みがないことで、情動たちの動きにも偏りが生まれている。それに11歳のライリーにはない、55歳のミナコーには"ダリィ"という倦怠感の情動が司令部に住み付いている（"ダリィ"はインサイドヘッド２で新しく設定されたキャラ）。この"ダリィ"は思春期の時には遠慮がちに他の情動たちの後ろに控えていたが、ミナコーが年をとるにつれ、ふてぶてしく居座るようになってきた。特に６連勤の今週はこの"ダリィ"が、まるでスタバのコーヒーを片手に司令部のド真ん中に座っているようだった。医師会からの期限がある提出物、メールの返事、ダリィがボタンを押すと「後でやろう」となる。当然、医師会からは「先生だけがまだ返事来てません」という連絡が来る。ここからは"カナシミ"の登場だ。「私だけができていない」"ダリィ"から操作を引き継いだ"カナシミ"はミナコーを否定する。「こんなんじゃ、この先2年、医師会の仕事をできっこない。私はダメな奴だ」と。
また"ダリィ"は"イカリ"と仲がいい。渋滞で止まっているので、左の小道に一旦停止している車を入れてあげたら、１台だけのつもりがその後ろの2台目まで入ってきやがった！ダリィはイカリの肩に手をまわしているので、司令部の操作レバーをすぐに"イカリ"に明け渡す"イカリ"が猛烈にレバーを引いたので、アクセルをふかす右足に力が入ってしまって。。。
ミナコーは長期記憶から疲れている時の解決法を”考えの列車”で取り寄せてみる。１両目にはアルコールが乗っていて"ヨロコビ"が一瞬操作ボタンを押したが、長くは続かない。疲れて代謝が悪くなったのか飲み過ぎてもいないのに、"ムカムカ"してきた。アルコールは毒だものな。明日は無事に仕事を全うできるのか"ビビっ"てしまう。
いったいどうしてしまったんだ！大人になるにつれ順調に育ってきたと勝手に思っていた、"リセイ（理性）"が私の頭の中に見当たらない！私は情動たちに頭を占拠されているただのロボットではないか。。。！？
映画では"ヨロコビ"だけが幸せを作るのではなく、"カナシミ"のなかにも"ヨロコビ"がありそれがまた新しい性格を形作る、つまりカナシミの役割を悟ることでライリーの混乱は解決する。
ではミナコーの場合は？”考えの列車”の２両目に乗っていたのは”瞑想”だった。
瞑想をしたからといって負の情動たちは無くならない。どの情動もいなくなりはしないが、誰かがコントロール盤を占拠するでもなく均等に並んでいる感じだ。ライリーの中の"ヨロコビ"が"カナシミ"、いや情動たちすべてが必要と悟ったように、瞑想はそもそも情動をコントロールできないと教えてくれる。瞑想からは、司令部の上に司令部を観察する小部屋が設置される感覚が生まれてくる。情動は自動で作動してしまう、観察室からはそれを眺めることができてどの情動が意思決定をコントロールしようとしているのか見える。きっと理性はその観察室の中にいるのだ。理性が眺めてくれていることで、アクセルをふかそうとした右足の力が抜けていく。「あおり運転は犯罪だよ」by理性。

生きていれば情動の嵐に身をゆだねているような状態になるときも多いだろう。そんなときは嵐に任せるだけではなく自分のインサイドヘッドを考えてみるのも面白いのではないだろうか？
そのように思う人も多いのか、最近公開された「インサイドヘッド2」は興行収入が「アナと雪の女王2」を上回ったという。「確固たる意志を持った雪の女王の話＝アナと雪の女王」が、「人間は情動に左右されて意思決定をしている＝インサイドヘッド」という話に負けるのは現実社会を見ているようで面白い。どっちも夢を語るディズニー映画というのもまた、私にはツボだ。
「インサイドヘッド2」公開記念で8月3日にフジTVで「インサイドヘッド」を放映するということを本日（7/28）に知った。おーい、このブログを書くためにアマゾンプライムで199円で借りてしまったよ。ちょっとカナシィ。