院長ブログ

2024.12.28

2024編集後記

今年も1年を振り返る時期がやってきました。
ブログ1つ書くのにかかる時間はそれぞれで違い、数日考えることもあれば、2時間くらいでぱっぱと書けてしまうものもあります。1月に書いた「ヘッドホン・イヤホン難聴について」は、東京での講義を数か月前から予定し、前泊して準備しました。その準備が功を奏したのか今年最も読まれたずブログになりました。
次点は色物枠と言いますか、病院とは全く関係のない内容のものが入ってきます。昨年なら「犬神家の一族考」に相当する今年2番目にアクセス数が多かったのは「むかしの男」でした。鬼平犯科帳ファンが読んでくれるのでしょうか?いつの日か、この色物枠が上位を占めるようになったら、病院をやめて物書きとして生きてみようか?と妄想しています。

さて、みなさんは自分と他の人は違うと感じたのはいつでしょうか?
これから登る坂道を前にした時、その角度は体力がある人は緩く見え、疲れていれば急に見える。一人だと急に見え、友人と一緒だと緩く見える。坂道の角度は決まっているのに、どう捉えるかは人によって違うみんな自分だけの世界=ウンヴェルト(環世界)の中で生きているということを書いた「僕の後ろに道はできる」はアクセス数は少ないですが時間を割きました。
診療では相手のウンベルトと、私のウンヴェルトとの”すり合わせ”です。坂道が急に見える人に坂道は緩いのだと教えるような、私のウンヴェルトを相手に理解させる診療はうまくいかないことも多いと感じていました。人それぞれにウンヴェルト(環世界)を持つ、という現実は、私の仕事は坂道の傾斜角度を伝える、つまり客観的なを話すことだと教えてくれましたように思います。
意外に思われるかもしれませんが、客観的に話すことを邪魔するのが情動と感情です。それらを説明に込めれば込める程、自分のウンヴェルトを相手に理解させようとする方向に動きます。こういう経験から、意識できた感情、その前段階に体に起こる情動について考えてみたのが「インサイドヘッド(情動の役割)」です。生まれたての赤ちゃんにも備わっている情動は、人間という種族で生きていくための”サバイバルキット”です。そうやって情動や感情を利用して、意思決定をしやすくしているように思います。そしてどうやったら、”うまく感情を利用し客観的に考えられるのか?”というのが、現時点での私の命題です。
今年も様々なことを書きました。来年も興味あることを拡げ、書いていきたいと思っています。
私に書く時間、考える時間を与えてくれるスタッフに感謝して今年も終わりたいと思います。