院長ブログ
2025.03.23
道を見つける
記憶とは自分が体験したことを保存し後で思い出すこと、と言える。
前回のブログではその記憶と空間認知は同じ海馬が担当していると書いた。進化は、記憶と空間という全く違って見えるものに同じ構造を採用した。ということになる。
赤ちゃんは、首が座る→寝返りを打つ→ハイハイする→つかまり立ち→よちよち歩きと、たった1年くらいで運動機能を発達させ、それに伴い視点もダイナミックに変化する。空間認知も刻々と変わるだろう。なんせ、ハイハイからよちよち歩きで視点が40cmくらいは変わるのだから。
歩き出すと、ふらふら自分のいる世界を探索するため子供は歩き回る。海馬はある程度成熟しないと、記憶が残る準備ができないので、大人は2歳ころまでのはっきりした記憶がない。これらの事実は、空間認知を土台として記憶も作られるということを教えてくれている。考えてみればこれは当然で、私たちは空間に生きている。年年歳歳人は変わるけど、歳歳年年空間は変わらない。儚い一生のあやうげな記憶を結び付けておくには空間が最適なのだ。
歩き出すと、ふらふら自分のいる世界を探索するため子供は歩き回る。海馬はある程度成熟しないと、記憶が残る準備ができないので、大人は2歳ころまでのはっきりした記憶がない。これらの事実は、空間認知を土台として記憶も作られるということを教えてくれている。考えてみればこれは当然で、私たちは空間に生きている。年年歳歳人は変わるけど、歳歳年年空間は変わらない。儚い一生のあやうげな記憶を結び付けておくには空間が最適なのだ。
と、ここまで読んで我が子の記憶を良くするには空間認知か、明日から空間認知を伸ばす問題を机に座って解かせようと思った親御さんがいるならそれは半分当たって半分間違っている。確かに非常に優秀な子の特徴は空間認知能力の高さにあるが、それには体を動かすことも必要になってくる。うろうろ、うろつきまわって探検することでそれは育まれる。自由に動き回ることが子供の成長にとっては、ものすごく大事なことなのだ。私も、もっとうろつきまわっていたら、縦列駐車が得意になっていたかしら?十分にうろつきまわって怒られていたけど。
今度ららぽーとで迷子のお知らせが流れてきたら、道を見つけよう(wayfinding)としている探検家の紹介と思ってみよう。そして、数年間コロナで、友達と外遊びをする機会を失った子供たちの学習能力はどうなるのか?気にしてみよう。いずれ答えは出るだろうから。
子供たちだけではない。海馬の萎縮が認知症と関連があることを考えると、海馬を活性化させることは、どの年代にとっても健康的な生活をおくる鍵となる。スマホにインストールしたGPSに道案内をさせても海馬は使われない。同じ道を行くでも、音声案内に反応して右に左にと進む場合は反復する行動を習慣化させる部位が活性化するだけなのだ。困ったことに、脳は使われないと衰えてしまうから、GPSを使えば使うほど、海馬は沈黙してしまう。
なんか、私は今猛烈に知らない街を歩いてみたい気持ちになっている。自分の海馬を鍛えるために、GPSに頼らないで。いっそ迷子になってみたい。とすら思っている。でも先に母親にこのブログを送ろう。「ナンプレばっかりやっても脳は鍛えられないよ」と一言添えて。